「サバの秋の夜長」は、大島弓子先生の愛猫“サバ”との日々を綴りながら、作者の日常が描かれていくエッセイ漫画です。
今でこそエッセイ漫画は人気のスタイルですが「サヴァビアン」から続く一連の“サバ シリーズ”の雑誌への掲載は、昭和(1985)から平成4(1992)年にかけての頃ですから、エッセイ漫画の黎明期だったかもしれませんね。
当時のエッセイ漫画は、人気少女漫画家 大島弓子の知られざる日常や感じ方・考え方などを覗き見るように感じ、ファンとしてはちょっと嬉しく思ったものです。
ヒトの姿をした“サバ”が、常に真面目な顔で(ある意味無表情で)描かれているのが、いかにも猫らしいといいますか…。
サバは、飼い猫というより同居人として描かれていて、猫好きとしては親しみがわきます。
愛猫サバとの出会いを描いた「サヴァビアン(綿の国星4に掲載)」から続く“サバ シリーズ”をご紹介します。
「サバの秋の夜長」
白泉社文庫「サバの秋の夜長」 収録作品は4篇+あとがきマンガ
“サバ シリーズ”としてまとめられているものとしては「サバの秋の夜長」と「サバ夏が来た」の2冊がありますが「サバの秋の夜長」が先です。秋→夏の順に読んでくださいね。
サバだけじゃなく、他の猫さん・鳥や象や虫までがヒト化して描かれます!
あらためて大島先生の感性と才能に感動しつつ、紹介します。
「月の大通り」 冒頭で大島先生も「これは 私生活の 猫のおはなしなんです」と書いていますが、サバと暮らし始める以前に出会った猫たちとのエピソードに始まり、サバとの生活の中での小さな発見の数々を同居人としての目線で綴る65ページ。けっこうな長編です。
「アンブラッセ」 大島先生がサバと出会う10年以上前にお試しで暮らした子猫とのエピソード。そして、サバの病気から作者自身の風邪引き体験エピソード。猫と暮らしていると毎日のように新しいことが起こる…と思い出させてくれます。
「サバの秋の夜長」 大島先生の仕事締め切り前のストレスが、サバにも影響してしまい…。サバのためを思っての引っ越しやら部屋の改造やら、サバにとっては大事件!読み応えある60ページ。
「わたしの屋根に雪つもりつ」 サバの体についたノミ退治から始まるエピソード。ノミに呪われる数日(もちろん作者の想像)を描く。ノミの世界まで擬人化しちゃうからスゴイです!ポーレットとミシェールという名前まで付けられてます!
「あとがきマンガ」 2000年に発行された白泉社文庫のための2ページのようです。「サバの秋の夜長」を描いているころの25時間生活についての解説です。
「サバの夏が来た」
白泉社文庫「サバ夏が来た」 収録作品は5篇+あとがきマンガ
「サバタイム」 サバと暮らすエピソードを1月から12月の各月ごとに描く短編をまとめたサバタイム。サバは正月が一番好きかもね…って。そして大島先生はクリスマス月が大好きだそうです。
「サバの夏が来た」5月5日はサバの誕生日。誕生日を祝う楽しい時間からサバの体調変化・環境変化…と、二人の小さな変化や気づきを描きます。
「すばらしき昼食」 束縛を嫌い、結婚しないほうが自由かなぁと思ってシングルの大島先生だったが、いつのまにか飼い猫サバに束縛されている…。春・桜に誘われて思い出すことや動き出す感情もあって…。
少年のように描かれているサバですが、サバの避妊手術が終わるまでの間、大島先生は一人で桜吹雪を見ていたというエピソードがあります。サバは女の子なんですね!
「大きな耳と長いしっぽ」 長い休暇をとることにした大島先生。心地よい何も考えない生活は時がとても早く過ぎるそうです。何もしなくても外の世界は止まってはくれません。次々に変化は訪れて…。
「サバの天国と地獄」 大島先生の仕事の締め切りは、修羅場と形容されるようにドタバタと緊張感に満ちているらしい。修羅場の状況やサバの対応など、仕事場を見ているようなエピソード。
「あとがきマンガ」 2000年に発行された白泉社文庫のための2ページのようです。サバに次いで飼い猫となるグーグーがちらっと登場しています!
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[…] 「サバ シリーズ」はこちらでも! […]